私の議会報告

平成25年第3回定例会 9月12日 一般質問

■平成25年第3回定例会 (9月10日~10月11日)

平成25年度第三回定例会一般質問で、近藤さえ子は以下の質問を行いました。(9月12日)

1.認知症に対する施策について


中野区の認知症に対する施策について伺います。

中野区保険福祉総合推進計画2012によると、認知症の傾向の目安となる、介護保険の認定調査に用いる「認知症高齢者の日常生活自立度」Ⅱ以上は、平成23年度4月現在、約5500名となっています。これは要支援・要介護の認定者数の約半数に相当するそうです。
団塊の世代(昭和22年~24年生まれ)が65歳を超える平成27年には中野区の高齢化率は約22%に達する見込みです。認知症のリスクファクターの第一が高齢化であり、誰がなってもおかしくないことを考えると、今後、認知症に対する施策が喫緊の課題となってくることは間違いありません。

中野区では認知症グループホームの設置は順調に進み、利用者にも家族にも大変喜ばれています。また、認知症サポーター講座も開催され、累計約4200人の方が認知症サポーターとなったことは、大いに評価できます。しかし、現在、その以外の施策は見えてきません。

国は、認知症高齢者の将来推計を鑑み(かんがみ)、認知症に対する施策を早急に整えるべく、厚生労働省は昨年9月「認知症施策推進5カ年計画」いわゆる「オレンジプラン」を公表しました。認知症の早期診断・早期対応、地域での生活を支える医療・介護サービスの構築、日常生活・家族支援の強化等をあげ、平成25年から20年までの目標としています。

① 中野区の認知症対策は、現状はどのようになっているのでしょうか。
② オレンジプランでは、認知症地域支援推進員を置くことも推進されていますが、中野区には現在いるのでしょうか。現在いなければ、どのような計画があるのか教えてください。

医療との連携では、地元医師会や認知症サポーター医とのネットワークの形成によって、早期発見、投薬の間違い等を防ぎ、認知症を早期の段階で抑える取り組みが大切になりますが、認知症を専門とする医師の存在はまだまだ少ないのが現実です。
東京都では「10年後の東京」への実行プログラム2011事業として「高齢者の安心した暮らしを地域全体で支援」する事業を推進しています。地域における認知症疾患の保健医療水準の向上を図るため、また、認知症の人が地域で安心して生活できるよう、医療機関同士、さらには医療と介護の連携の推進役となり、地域の支援体制の充実を図る目的で、都内10か所の認知症疾患医療センターを配置しています。例えば杉並・新宿・中野の3区は杉並の浴風会病院の所管となっています。                             
③ この認知症疾患医療センターの存在は、介護事業者や区民に周知されているのでしょうか。地域のかかりつけ医の中には。認知症に対する認識を持たれない医師もいます。かかりつけ医と認知症疾患医療センターとの関係はどうなっているのでしょうか。
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 杉並区では今年度から、都の認知症総計発見・早期診断推進事業から700万円の補助金を受け、高齢者部署に「認知症コーディネーター」を配置しました。認知症高齢者を早期発見、診断、対応するために、適正な医療介護につなげるのが目的です。併せて、地域での見守り強化として、ヤマト運輸配送員の日常業務を生かし、見守りの覚え書きを交わしました。さらに、10月からは民間宅配弁当事業者に宅配時の見守り義務を委託するとしています。このようにモデル地区を設定し、喫緊の認知症対策への道筋をつけようとしています。
④ 中野区も認知症対策に積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、中野区保険福祉総合推進計画2012にはオレンジプランで推進された認知症対策はほとんど盛り込まれていません。中野区保健福祉総合推進計画の次の改定はいつになるのでしょうか。

 認知症対策を任せられている職員の数を比べてみても、杉並区では高齢者在宅支援課で保健師2人が担い、新宿区でも認知症対策に保健師3.5人が係っています。しかし中野区では福祉推進分野の保健師1人が他の業務と兼任で、わずか0.5人の人員で認知症対策をこなす形となっています。
 すこやか福祉センターでも認知症の家族教室を民間に委託する業務は行っていますが、すこやか福祉センターでは、認知症の相談を受け、地域包括支援センターに繋げる業務に限られるように見受けられます。この体制では、認知症施策を考え、進めることは厳しい状況ではないでしょうか。
⑤ 認知症問題に取り組むためには、まず認知症対策に取り組む組織を強化することが急務と考えますが、人材の投入をどのようにしていくお考えでしょうか。2000人体制に向かう中野区で、新たな人材確保が難しいことは重々理解しておりますが、認知症対策のしっかりとした体制作りは、喫緊の課題であると思います。

国のオレンジプランを受けて、世田谷区では、「認知症になっても住み慣れた地域で、安心して暮らし続けるために」を掲げ、「(仮称)世田谷区認知症在宅支援センター構想」を策定し始めました。認知症本人が主体者となり社会的役割を果たす場の立ち上げや地域の医療・介護の連携推進、特に家族介護者のための支援の拡充をあげ、地域での支援体制を積極的に進める方針を打ち出しています。

今朝、私は精神科や認知症を専門とする医院に寄ってきました。医院にはスーツを着た男性が親に付き添う姿をよく目にします。多くの働き盛りの人間が、仕事と介護の両立させることに四六時中気が休まることなく悲鳴を上げている状態です。
 また、今年8月、名古屋地裁である判決がでました。5年前、徘徊の習慣を持つ91歳の認知症の男性がJRの線路内に立ち入り、電車と接触して死亡したことについて、列車遅延に対する損害として、遺族に約720万円を求めるものです。当時同居していた妻は85歳、長男は別居していました。判決は「男性の介護体制は、介護者が常に目を離さないことが前提となっており、過失の責任は免れない」と言うものでした。
認知症の家族を抱える家族は想像を絶するプレッシャーを抱えています。

 厚労省のオレンジプランの中にも、「家族支援の強化」が強く謳われています。
 同プランの中にも提案されている、認知症の人と家族、地域住民、専門職等の誰もが参加でき、集える「認知症カフェ」を中野区のような住宅地に作ることを希望している認知症専門医師の話も伝え聞いています。この場合、公共施設の跡地の転換等を考えることもできるのではないでしょうか。
 その医師の話では、「最近物忘れが多くなって気になる」「最近、自分の行動に自信がもてない気がするが、家族には気づかれたくない」そんな「自分は、もしかして認知症では?」と気に病む人に、気軽に来てもらえるブースを用意し、そこに来る人たちをベテランのスタッフと医師が迎え、認知症の早期発見、早期医療対応をすることで、個人のアイデンティティーをできるだけ長く保てるのではないか、ということです。また、認知症の方同士、その家族同士がお互いに話し合える場所を共有することにより、「自分は一人ではない」と勇気づけられる空間の提供でもあります。
 早期発見・対応により、認知症になっても地域で安心して過ごせる中野区を目指すにあたり、早すぎることはありません。この待ったなしの認知症に対する施策に早急に取り組むことをお願いして、この質問を終わります。

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