平成26年第3回定例会 9月16日 一般質問
■平成26年第3回定例会 9月16日 一般質問
平成26年度第三回定例会一般質問で、近藤さえ子は以下の質問を行いました。(9月16日)
1、青少年の健全育成について
(1)社会を明るくする運動について
(2)要保護児童対策地域協議会について
(3)相談事業の充実について
2、その他
1.社会を明るくする運動について
「社会を明るくする運動」は、戦後まもない昭和24年に作られた「更正保護制度」と、銀座の商店街の店主有志が保護少年更生のための資金を集めた活動(銀座フェアー)に代表される「矯正保護キャンペーン」とが一緒になり始まった運動で、今年で64回目、すべての国民が、犯罪・非行の防止と、あやまちを犯した人の更生について理解を深め、それぞれの立場で力を合せて、犯罪や非行のない安全で安心な地域社会を築くための全国的な運動です。
つまり、元は非行や犯罪を犯した少年たちを更正させることに主体を置いた運動ということです。
中野区でも保護司の皆さんが中心になり毎年行われ、私も毎年地元の活動に参加しています。
今年の地元地区の「社会を明るくする運動」の集いでは、小学校の女性校長が、自身の子育て中の悩み、子どもが問題行動を起こした時の関わり方等について語られ、「子育てはいつもうまくいくとは限らない、誰かが誰かを許すこと、子どもに我慢させること、褒めること、大人が落ち着いて対応すること」など大切なことを話されました。仕事をしながら子育てする多くの母親たちが経験する子育ての一般的な話のようでもありますが、校長という社会的立場の女性が、自分たちと同じように子育てに悩み、苦労されたことを知り、参加者からは大変好評でした。
このように、保護司の皆さんが、PTAや地域の皆さんの心に響くよう、毎年この運動を企画されています。これまでも、かつての非行少年の話、被害者遺族の話等を通じ、運動の意義を理解してもらい、共に安心で安全な社会を築いていくことを目指して来ました。
保護司の皆様は、大変なご苦労で、その一端が窺えるのは、アンケートの中に昨年から、「もし依頼があれば、あなたは保護司を務められますか」と言う設問が設けられたことです。今後を引き継いでいく地域の保護司の育成という課題も見えてきました。
先にも述べましたが、そもそもこの運動は、加害者の更生を目的としています。法務省は、今回のキャンペーンも「おかえり」とし、罪を犯した人も刑が終わった時は、地域で支えていく考え方を打ち出しています。
しかし、今年の社会を明るくする運動には、例年とは大きく違う部分がありました。新作のビデオの中にも、保護司会だより「なかの」の東京保護観察所 荒木所長の言葉の中にも、犯罪被害の現実に目を向け、そこから、犯罪を起こさない社会を作ることが大事であることが謳われていました。再犯を何としても食い止めたいとの思いから、「反省無くして更生なし」と言うことを国が声を大にして言い始めたのです。
会の終わりに、中学生による元気なブラスバンドの演奏がありました。未来を夢見る子どもたちの希望に満ちた姿を見るたび、この子たちが、被害者にも加害者にもならないよう、安全で安心して暮らせる社会を作ることが大人の責任であると感じます。
インターネットを通じての犯罪、お母さん助けて詐欺、危険ハーブ等たくさんの犯罪が、今の子どもたちのすぐ隣にあります。加害者の低年齢化も目立ちます。まずは、親が自分の子どもを加害者にしない努力をしていくこと、子育てに困っている人がいれば皆で支えあっていく、「社会を明るくする運動」は、何か特別なことをするのではなく、毎日の私たちの普通の暮らしの中にある活動を、地域で確認していく運動ではないかと私は理解しています。
法務省管轄の社会を明るくする運動が、中野区では子ども教育部管轄となっています。この運動を子ども教育部が所管している理由、意義を教えてください。
2.要保護児童対策地域協議会について
中野区次世代育成支援行動計画、平成25年度事業実績によれば、
「1年間に新たに発生した子どもの虐待の件数は、60件と前年度より30件の減少になっています。その要因の1つには、子ども家庭支援センターとすこやか福祉センターの連携強化、要保護児童対策地域協議会の充実等がある」となっています。
- 虐待対応において要保護児童対策地域協議会のどのような取り組みが効果に結び付いたのでしょうか?
今年7月、長崎県佐世保市で、女子高校生が同級生を殺害する凄惨な事件がありました。マスコミや関係機関に寄れば、加害者の高校生は、小学生の時から問題行動があり、事件の直前にも問題行動を起こし、保護者が入院の措置を考え、児童相談所に電話もかけていたと言います。虐待等を含む、子どもたちが犠牲になる事件が起こるたびに、必ず、周りの誰かが兆候を感じているケースが多く、「なぜ防げなかったのか」といつも悔やまれます。
このような悲しい事件を防ぐために大事なことは、「子どものサインを見逃さない組織を作ることである」と言われます。そして現在、そのために活用されることを最も期待されている組織が、要保護児童対策地域協議会です。この協議会は、児童虐待防止のためのネットワークから発展し法制化されて10年が経過し、虐待だけでなく非行等の要保護児童も対象となっています。
子どもが出しているサインに対し、対応が後手に回らないためには、異なる機関が個別のケースについて協議の場を持つ必要があり、それぞれの機関の更なる調整が必要です。
中野区では、非行等の個別ケースに、要保護児童対策地域協議会はどのように対応しているのでしょうか?
少年犯罪と向き合ってきた方々は、地域での要保護児童への組織的な介入が、虐待事案を防ぐだけではなく、他の要保護児童の成長過程においても大切であり、要保護児童対策地域協議会の重要性、果たすべき役割は大きいと言われます。
- 中野区の方針、課題等があれば教えてください。
3.相談事業の充実について
中学校PTA連合会から、「教育環境および施設・整備の改善要望書」を毎年頂きます。その中には、繰り返し要求される同じ要望がいくつかあります。つまり、何度要望を出しても、改善されないということです。
その要望の1つは、教育相談室の外線着信可能な独立回線を求めるもので、何年も前から、繰り返し繰り返し出されています。
独立回線を受け入れられない理由について教育委員会に伺うと、直通回線にすると、別の相談中に外線が入ってきて、相談が中断するなどの理由を挙げられます。しかし、学校の内線経由でかかった電話でも、別の相談中であれば状況は同じです。学校側とは相談活動が円滑に行われるようルールを決めて体制作りがされているのに、保護者とはルール作りができないのでしょうか。相談中は、他の電話がかかっても速やかに切る等のルールを決めて置けば、電話が内線だろうが外線だろうが問題はクリアできるはずです。
教育相談室が外線を受け入れられないとしてあげている他の理由も、保護者とカウンセラーとのルール作りによって解決できるものが多くあります。毎年出されている、外線着信可能な独立回線の設置を希望する保護者に対し、教育委員会は誠意をもって答えているように思えません。
中P連は、教育委員会、学校、地域の皆さんと共に、全中野区の中学校の事や子どもたちの事を考え、一生懸命行動している方々です。中P連の協力なしに、子どもたちの健全な育成はないでしょう。その皆さんが、悩みを抱え、直接カウンセラーに相談したいと要望しているのです。中P連の皆様が納得する説明を求めます。
なぜ外線着信可能な電話回線を引くことができないのでしょうか。
また、どうしても直接外線での受け付けができないのであれば、「学校を通さずに専門家に直接相談したい」と希望する親たちに対し、別の相談機関の紹介をするなど、悩みを抱える保護者に寄りそう解決策を提案していただきたいと思います。たとえば、練馬にある「ねりま青少年心理相談室」などでは、非行問題で悩む親に対し、専門家が丁寧に相談にのってくれます。
学校で何か問題が起こった時、真っ先に動いていただくのはいつでもPTAの皆さんです。その皆さんが、カウンセラーへ直通で悩みを相談したいとおっしゃっているのですから、外線の着信可能な電話回線の設置をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。