平成27年第3回定例会 9月14日 一般質問
■平成27年第3回定例会 9月14日 一般質問
第三回定例会で近藤さえ子は以下の一般質問をしました。(9月14日)
1、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けての取り組みについて
2、認知症対策について
1.東京オリンピック・パラリンピックについて
2020年東京オリンピック・パラリンピックを巡っては、新国立競技場に続き、五輪エンブレムも白紙撤回になり、相次ぐ税金の無駄遣いという事態に、多くの国民が落胆や憤りを覚えました。開催まで5年を切った現在、オリンピック・パラリンピックに対し、あまり良くないイメージが先行してしまいましたが、せっかく私たちの住む東京で行われることが決定した祭典ですので、この機会を、より有効的活用として行きたいと思います。
8月、東京都の舛添知事は、「『オリンピック憲章』は、憲章の定める権利及び自由はいかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならないと謳っており、2020年に開催されるオリンピック・パラリンピックは、社会の隅々まで人権尊重をより一層浸透させるまたとない機会ですと述べています。東京都では人権施策推進指針の見直しも15年ぶりに行いました。その新たな指針の下、様々な施策を展開し、人権が尊重される「世界一の都市、東京」の実現に向け、都民の皆様と力を合せて取り組んで参ります」と語られました。
10月31日には東京国際フォーラムにおいて、公益財団法人東京都人権啓発センター主催の大きな人権啓発を目的にしたイベントも開かれます。人間としての存在や尊厳が尊重され、思いやりに満ちた東京を基本理念のトップに掲げた東京都の人権への取り組みがこれからスタートしていきます。子どもや高齢者に対する虐待、いじめの問題、職場での様々なハラスメント、人種差別等の人権問題、インターネット上での誹謗中傷、ヘイトスピーチの問題など、複雑多様化している人権問題は私たちの生活の中にたくさん存在しています。
- 中野区としても東京都の方針にしたがって人権施策を推進していくべきだと思いますが、今後どのような取り組みをしていくのか、お聞かせください。
- 「人権啓発・教育のために東京都が特に力をいれることは」と言う東京都のアンケートにおいて、「学校で現代の社会における人権問題を教える」など、「人権教育を進める」項目が64.06%とトップでした。中野区でも積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
- 区のホームページの2020年東京オリンピック・パラリンピック競技会に向けた取組方針を見ると、目標とする姿には、機運醸成、健康づくり・スポーツ活動の推進、国際理解の推進、外国人観光客の受入環境の整備の4点が掲げられていますが、東京都の指針に元づき、人権を尊重し、「誰もが住みたいまち中野区」を目指すことも目標に考えてみてはいかがでしょうか。
区長答弁
平成27年8月に策定された都の指針では、2020年東京オリンピック・パラリンピック大会の開催を控えて、人権都市東京を内外に発信すると共に、都民の人権意識向上のための啓発を進めていくこととしているわけでございます。
区はこれまでも人権の尊重の理念を広く区民に定着させるために、人権擁護委員の活動をはじめ、区民への暴力防止講座の実施等、啓発事業を行ってきたところであります。
今後、オリンピック・パラリンピック開催を契機としてグローバルな視点から、多文化共生社会の形成が進むよう、人権施策を見直してまいりたいと考えております。
オリンピック・パラリンピックの取り組み方針について
2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた取り組みの中で人権に関する領域として、健康つくり、スポーツの推進や国際理解の推進を上げており、その具体的な取り組みとして、障がい者スポーツの認知度の向上やオリンピック・パラリンピック教育推進校制度を活用した学校での国際理解教育の充実、国際交流協会との連携に寄る国際理解、異文化理解に対する講座の充実等、区民の人権感覚を省くむ取り組みが盛り込まれております。
人権を尊重とする目標としては、その中で対応してまいりたいと考えております。
教育長答弁
学校教育におけます人権教育についてです。学校におきましては、今までも人権教育の全体計画と年間計画を作成し、人権教育に取り組んできたところでございまして、今後、東京都人権施策推進指針の改定を踏まえて、引き続き様々な人権課題について取り組んでいく考えでございます。
2.認知症対策について
認知症対策について伺います。
平成25年第三回定例会、27年第一回定例会、二度の一般質問で、私は認知症に関して伺いました。10年後、65歳以上の5人に1人が認知症になると推定される中、今年2015年は認知症施策の構築にとって重要な節目の年であることも申し上げました。その中で、中野区のすこやか福祉センターの認知症に対する役割がわかいにくい事、他区と比較して、認知症コーディネーターや、認知症地域支援推進員等が少なすぎることを申し上げ、すこやか福祉センターや地域包括支援センターに認知症コーディネーターを配置することを求めました。
前回の区の答弁では、本庁に他の業務と兼任の認知症コーディネーター職員を配置し、すこやか福祉センターが苦慮する困難事例への初期集中支援を中心に活動しているので、現状で十分対応できているとの見解でした。
私は、この答弁について認知症の専門医と話しました。医師は、「中野区では、いつも一人の職員が対応しているけれど、本当に一人しか認知症コーディネーター役を担う職員はいないの?」と驚いていました。「(一人しかいないの)であるとしたら、中野区は、認知症コーディネーターと言う役割を誤解しているのかもしれません」と話されました。すこやか福祉センタ―で苦慮する困難な事例になる前に、早期発見・早期治療に結びつけることが認知症コーディネーターの大きな役割で、認知症本人にも、家族にも、そして周囲の見守る人々にも、少しでも困難な事例にならないようにするために認知症のコーディネーターや認知症地域支援推進員が必要なのです。
別の認知症専門医は、前回の区の答弁を見て、「最悪だな」と言われました。「本人も家族も周囲も対応できない状態になってから、コーディネーターが入っても意味がない。
これは昔のままの発想で、困ったらどこか収容できる施設を紹介するということではないのか?今は、初期発見、早期対応で、病気の進行を遅らせることができることが分かっているので、医師は初期発見を!と言っているのに」
認知症は、誰でもかかる可能性のある病気であり、今の段階では完治は望めませんが、
進行を遅らせることができ、本人が生きたい場所でありのままに生きることを望めるのです。だからこそ、専門医は、「早期発見が大事である」と声を上げているのです。この病気の早期発見に係わる大切な専門家として、認知症コーディネーターや認知症地域支援推進員は必要とされているはずです。
- 区は、認知症コーディネーターや認知症地域支援推進員の役割をどのように理解しているのでしょうか。現在の本庁に他の業務と兼任の職員だけの配置で、医療と介護、住民を結ぶシステムがうまくいくと考えるのでしょうか。
また、保健福祉審議会でも委員から次のような意見が提示されています。
〇認知症のコーディネーターが兼任体制では、あまりにもハードワークで、負担が大きすぎるのではないか。
〇2つの地域包括支援センターに1人の認知症コーディネーターを置き、区役所に1人処遇困難対応をする人がいれば、認知症コーディネーターが動きやすいのではないか。
〇認知症の早期発見とその診断が重要なので、そこに重点を置いて、シンプルな仕組みにした方が良い。
9月5号区報には、認知症チェックリストを載せて、「認知症は早期の対応が大切です」と区民に呼び掛けしています。そこには、「かかりつけ医と地域包括センターに相談を」と書かれていましたが、かかりつけ医の中には、それまでの医療とは違う個別の相談に対し、関心をあまり示さない医師もいるようです。また区報では、「支え合いを呼びかけ、皆で今後の高齢社会を支えていきましょう」と区民に呼びかけていますが、その旗ふり役の行政は、早期発見・早期治療が重要である認知症対策の要となる認知症コーディネーターや認知症地域支援推進員が本庁にそれぞれ兼業で1人と言うあまりにも手薄い体制で、本当に相談したい区民には、その取り組みは分かりにくいものとなっています。
- 現在の中野区で、認知症についても地域包括支援センターが、個別の相談、医療と介護の連携、地域のネットワークづくりのような役割を担っているのであれば、今後、認知症疾患医療センターと区民を繋ぐ役割、地域ケア会議での事例検討、地域での支援体制構築のために動ける、認知症地域支援推進員を各地域包括支援センターに配置して行くべきであると考えますが、いかがでしょうか。
- 今後、チェックリストが区民に普及していけば、認知症の疑いのある人の医師の受診へと繋がる可能性はあるでしょうが、病気の本人も、家族も、なかなか現状を認めない、認めたがらないところに、認知症早期発見、早期治療の難しさがあるように思えます。そこにこそ、認知症コーディネーターや認知症地域支援推進員が必要となります。
今後ますます必要とされる専門家、認知症コーディネーターや認知症地域支援推進員が正しく活躍できる素地を整え、認知症予防に取り組むことが自治体の役目と考えます。
最後に、チェックリスト普及後、まだ治療の必要はないと分った区民が、認知症予防の次の対策に進みたいと思っても、認知症予防の講座は用意されていません。認知症予防の講座等も開く必要があると思いますが、いかがでしょうか。
今月、中野区のあすかりクリニックが認知症疾患医療センターに認定されたと伺いました。認知症専門医は専門医同志が連携し、対策に力を入れているとも伺っています。中野区でも、医療現場は、認知症対策にしっかり動き始めています。認知症コーディネーターや認知症地域支援推進員を増員し、認知症に対する正しい理解と対応組織を持つ中野区をお願いして、私の質問は終わります。
健康福祉部長答弁
認知症対策について2点のご質問にお答えします。
認知症コーディネーター等専門人材の配置についてです。
現状では区役所内に、認知症コーディネーター、それから認知症の地域支援推進員を各1名配置をしているところです。また、専門人員の配置などを含めました体制整備につきましては、認知症高齢者の増加を踏まえまして、適宜適切に対応する方針に変わりはありません。
次に認知症チャックリスト後の介護予防への繋ぎについてでございます。
ご指摘の通り、予防活動に繋げることが大変重要であると考えてございます。既に介護予防事業等の中で認知症予防に資する内容の事業も実施してきているところでございます。今後も幅広い介護予防事業の拡充と合わせまして区民への周知を行って参りたいと考えております。