平成29年第2回定例会 6月5日 一般質問
■平成29年第2回定例会 6月5日 一般質問
平成29年第二回定例会で近藤さえ子は以下の一般質問をしました。(6月5日)
1 中野区犯罪被害者等相談支援窓口の充実について
2 U18プラザの廃止について
3 その他
中野区犯罪被害者等相談支援窓口の充実について伺います。
1997年、神戸市須磨区で起きた連続児童殺傷事件で土師淳君が殺害されてから、この5月24日で20年を迎えました。23日、参議院議員会館で犯罪被害者への支援拡充を訴える集会が開かれ、法曹関係者や市民ら約150名が参加しました。土師さんはこの集会の中で次のように訴えられました。「犯罪被害者支援については、犯罪被害者等基本法成立以降、法律改正や新たな施策が多く施行され、被害者問題を改善しなくてはならない機運が続いていたが、最近は議論がトーンダウンしている。もうこの程度でよいのではないかといった雰囲気が出ている。被害者支援の歩みを止めないでほしい。」
さて、中野区に目を向けてみると、平成21年(2009年)、中野区に犯罪被害者等相談支援窓口が設立されました。まず、区長が犯罪被害者等基本法の趣旨を理解され、次に当時の理事者とその組織の方々の大変な御尽力によってこの犯罪被害者等相談支援窓口がつくられたと伺っております。新規事業でもあり、全国的にも先例がほとんどない状況で窓口のある自治体に足を運び、被害者支援を勉強され、窓口がスタートしました。
また、2011年には、中野区社会福祉協議会のほほえみサービスを使い、家事援助、外出援助、同居家族の通院などにヘルパーが駆けつける緊急サポート事業も始まりました。既存のサービスを使い、財政的負担も少ない事業として全国でも注目され、担当職員は全国から講演依頼を受けてきました。また、窓口と教育委員会との共同授業、命の教育なども行われ、中野区の被害者支援施策はすばらしいと注目をされています。中野区の被害者支援はすばらしいと、交通被害者の団体から職員たちに感謝状が贈られたこともあると聞いています。地域のため、住民のために貢献があった区民に対して区長が感謝状を贈ることはありますが、区の機関に対して住民が感謝状を贈るのは大変珍しいことです。組織として、被害者に寄り添い尽力された職員がそれだけ感謝されたということです。
ところが、最近、この犯罪被害者等相談支援窓口事業に気になることがあります。まず、勉強を積み、基本法の趣旨を理解し、被害者からの人望が厚かった非常勤職員が今年度は契約されませんでした。非常勤職員ですから1年単位の契約ではありますが、被害者団体からは「最近の中野区はどうなっているのか」との声が上がっていました。個人情報を盗み出し女性の部屋に侵入するような臨時職員を繰り返し雇いながら、被害者支援に精通している非常勤職員は継続して雇わないとは、被害者団体でなくても本当にどうなっているのかと思われるのではないでしょうか。
被害者支援は、臨床心理士等の資格があっても、すぐに被害者に対応して相談を受けることができるものではありません。被害者に接した経験や法的な知識なども必要になってきます。今まで被害者支援について高い評価を受けてきた窓口の実績が非常勤職員とともになくなってしまうことは中野区にとって大変な損失であると思います。
- 今までの支援の経験や蓄積されたノウハウは区にとっても財産だと思いますが、それらを失わないように活用することについてどのようにお考えでしょうか。
- 非常勤職員同士の引き継ぎは十分に行われたのでしょうか。
さらに驚いたことは、ことし4月、副参事、係長、担当職員、非常勤職員と、これまで犯罪被害者支援対応にかかわってきた4人の職員全てが異動になってしまいました。
- 被害者支援に対して全く知識もない、被害者団体に足を一度も運んだこともない職員で事足りるとお考えなのでしょうか。
今回の体制を見る限り、一定の資格さえあれば誰でもできる簡単な相談窓口で構わないと勘違いされているのではないかと危惧します。非常勤職員の雇用においては、消費生活センターや教育センター等相談のプロたちは長年区民と対話し、消費の現場や子どもたちの現状を知り尽くし、その経験が相談の解決に役立ち区民に安心を与えています。まさに区が目指す少数精鋭の職員体制、2000人体制を支えるプロたちです。被害者支援はある意味さらに高い専門性が必要で、そうでなければ2次被害を与える結果にもなると考えられます。
- 今年から担当することになった職員についても早期に知識を習得する必要があると思います。どのように行っているのでしょうか。被害者団体にも足を運び、実態を知るべきではないでしょうか。
中野区の被害者等相談支援窓口は全国的に高い評価を受け、中野区の取り組みを教えていただきたいと、内閣府、他自治体、支援センター等から講演依頼を受けるまでに成長した事業です。今回の被害者支援に精通した非常勤職員の退職と被害者支援関係の職員の異動により、これまで積み重ねてきた被害者支援の知識や技術が継続されない可能性も高く、質問の冒頭に申し上げた連続児童殺傷事件の被害者の御遺族の土師守氏がおっしゃったように、被害者支援はもうこの程度でいいやという雰囲気が出ているのではないでしょうか。
悪いことは許さない、隣人の悲しみを放っておかない、地域に無関心でない住民を育てること、これこそ犯罪被害者を支援する方たちと警察が一緒に目指している世界です。被害者学の権威で国連犯罪防止計画諮問専門機構に日本代表として招かれるなどの実績のある元常磐大学学長の諸澤英道教授のおっしゃる、「遠回りに見えますが、被害者支援を進めることこそ犯罪を抑止する最大の効果です」とのお言葉を再びお伝えいたします。
- 全国的にも注目されている事業にかかわっていることを誇りに、犯罪被害者支援に対するさらなる充実を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
次に、U18プラザの廃止について伺います。
区は、児童館をなくして、9館残されるはずであったU18プラザを廃止する計画です。子どもたちを見守る大人が存在する学校以外の居場所が必要であることを、これまで私は何度も質問してきました。多くの区民もU18プラザの廃止に反対し、パブリック・コメントでは史上最高の反対の声が集まったのに、それなのになぜ廃止なのかと、子育て中や子育てにかかわる区民から不信の声が上がっています。ぜひいま一度、中野区の子どもたちから学校以外の居場所を取り上げてしまって本当によいのかを考えていただきたいと思います。
近隣自治体でも、小学生の放課後の居場所を学校内に設置し、児童館を縮小する方向性は同じですが、それ以外の策も考えられています。例えば、練馬区では、小学生は中野区のキッズ・プラザと同じ機能を持つ「ねりっこひろば」を利用しています。中高生には19時まで児童館で過ごせる事業、「中高生居場所づくり」を行っています。もちろん乳幼児や小学生も児童館で自由に遊べます。それ以外にも2館の青少年館の建物があり、ここでは中野区がこれからやろうとしているサークル発表会などが行われています。
杉並区では、名称は児童館から「子ども・子育てプラザ」に変わりましたが、14カ所の乳幼児と小学生が気軽に来て遊ぶことができる施設は存続していきます。他にも児童、青少年が使える児童青少年センター「ゆう杉並」の大きな施設もあります。今後も地域コミュニティ施設として小学校区に乳幼児、小学生が集える場所をつくっていくそうです。さらに、中高生には中央線沿線などに数箇所、中高生が気軽に使える場所を整備していく計画があるそうです。
小中学生が学校以外に自由に使える居場所がないのは中野区だけではないかと、多くの区民が区の子育て施策に対して絶望しています。他区では、児童館を縮小はしても、学校外に小学生が自由に使える居場所は確保しています。
- 中野区でも小学生が自由に遊べる場所を、たとえ南北に2館ずつと少数になっても学校外に確保することはできないのでしょうか。
区は、U18プラザ計画は失敗したと言って廃止しようとしていますが、U18プラザは学校にも家庭にも居場所のない子にとって特に大切な居場所です。教育関係者は、子どもたちから最後の居場所を奪う残酷さを真剣に考えていただきたいと思います。そもそもU18プラザは、乳幼児・児童仕様になっている児童館を中高生にまで対応させるよう区が決めたもので、館長をはじめ、職員、地域の保護者や子どもたちで大変苦労をしながら、少しでも快適な居場所がつくれるように工夫を重ねてきました。その努力のかいがあってようやく中高生の居場所として定着してきたところで、今度は廃止です。区が始めようとしている中高生活動発信応援事業も活動場所がなければ発表することもできません。
②児童館を使って中高生館がうまくいかなかったというのであれば、他区のように中高生が使いやすい青少年館を中野の中央にでも1館だけでも整備されてはいかがでしょうか。
区役所庁舎に莫大な予算をかけるよりも、子どもたちの大切な居場所をなくさないでほしい。区民の切実な声をお伝えして、私の質問を終わります。
○区長(田中大輔) 近藤議員の御質問にお答えをいたします。
中野区犯罪被害者等相談支援窓口の充実についての質問です。蓄積された情報の活用と職員の引き継ぎについて。犯罪被害者支援の業務は多岐にわたっており、関係機関との連携なども行ってまいりました。また、相談記録にも相談内容や区の対応など貴重な情報が多く含まれており、これらの情報を分類整理し、相談支援に活用しております。採用期間が重ならないため、非常勤職員同士の直接的な引き継ぎは行っておりませんが、常勤職員間での引き継ぎや相談内容や経過を記載した相談記録を振り返ることで継続した相談にも途切れることなく対応をしているところであります。
職員の育成と今後の取り組みについて。人事異動があってもそれまでのものをきちんと継続していくのが行政組織の継続性であり、日常の業務や研修に参加することにより必要な知識の習得に努めているところであります。区として犯罪被害者支援は必要と考えており、相談支援事業のほか、犯罪被害者等緊急生活サポート事業も行ってきたところであります。犯罪被害者への支援については、社会状況の変化やニーズを踏まえ、今後も区として必要な支援を行ってまいります。
私からは以上です。
○地域支えあい推進室長(野村建樹) U18プラザの廃止関連で、児童館の存続についてという御質問にお答えをいたします。
児童館につきましては、各小学校へのキッズ・プラザの展開に合わせ、順次廃止をしていく考えでございます。
○子ども教育部長(横山俊) 私からは、U18プラザの廃止のうち、中高生の居場所機能についてお答えいたします。
中高生の居場所づくりといったことにつきましては、U18プラザの当初の目的ではございませんでしたが、実態として居場所となっていたこと、またその上には地域の方々の努力もあったことについては認識してございます。区といたしましては、中高生専用の居場所となる区立施設を用意する考えはございません。新たな中高生の活動支援事業や地域の方々の活動を通じまして中高生の主体的な活動等を推進していきたいというふうに考えているところでございまして、そのための予算計上や公益活動助成の充実等の対応を行ったところでございます。
近藤さえ子 再質問させていただきます。
児童館を廃止して、学校の中にキッズ・プラザを入れていくということはわかっているんですけれど、他区もその方向ではあるけれど、それでもみんなが自由にいつでも行ける学校外の場所は確保して工夫をしながらやってきている。なぜ中野区だけがそれができないのかなと思います。ぜひ本当に、全部の児童館を残せとは言っていません、たった1館でも東西に2館でも本当に子どもたちの居場所を残すべきではないかと言っているんですけれど、いかがでしょうか。
〇地域支えあい推進室長(野村建樹) 重ねてのお答えとなりますが、児童館につきましては、各小学校へのキッズ・プラザの展開、これに合わせまして順次廃止をしていく予定でございます。