令和2年 第1回定例会 2月19日 一般質問
1、中野駅新北口駅前エリア再整備について
2、地域包括ケア体制について
3、その他
中野駅新北口駅前エリア再整備について伺います。他の議員からも質問がありましたが、区民が不安を抱いている部分について質問させていただきますので御了承ください。
中野駅新北口駅前エリア再整備事業については、区民会議や意見交換会、パブリックコメント等の手続を経て策定してきましたが、再整備事業計画(素案)に対する意見交換会でも、区民の財産であり、かつ駅前の一等地である土地を新区役所財源のために処分してよいのか、処分するにしてもなるべく少ない面積とし、土地の評価に当たっては必ず複数の不動産鑑定士に検証してもらいたいという声がありました。第13回区役所・サンプラザ地区再整備推進区民会議においても、これまで事業者に無償で協力してもらったことや、その事業協力者が今回の民間事業者公募に参加できることは、透明性や公平性の観点から見て問題がある、民間事業者公募に当たっては、募集が単独の場合は再公募とし、必ず複数の競争になるようにしてほしいなどの意見が出ていました。議会からも、区民の財産である中野駅前の一等地に対し、売却の選択だけではなく、定期借地権方式も考えていくべきではないかという声もありました。
このような声に対して区は、本事業の目的はシンボル空間となるまちづくりと新区役所整備財源の確保であり、これを両立させるために資産の一部処分が必要である、定借による土地と地代の確保を優先させた場合、目標となるまちづくりが成立しない可能性が高いなど、新区役所整備の財源確保とこの計画で示すまちづくりの考え方、手法は変更しないことを説明してきました。
回を重ねて議論を尽くしてきたはずの区民会議や議会でも、必ずしも区の再整備事業計画に理解や納得が得られたとは思えません。中野駅の一等地がどうなっていくのか、サンプラザはどうなるのかと大きな関心を持って見守ってきた区民に対し理解や納得を求めるのはこれからです。区が策定したこの事業計画を区民が納得するような説明の情報発信を求めますが、いかがでしょうか。
現在、民間事業者応募の手続が進められています。全て民間が主導権を握っていくことになるのではないかなど、心配の声もあります。今後、区民の声を反映される場はあるのでしょうか。区が関与し、区民の声をしっかり受け止めていく必要があるのではないでしょうか。
現在のサンプラザは、施設の外観に対する愛着とともに、気軽にコンサートやスポーツを楽しめるなど、長く利用してきた区民も少なくありません。今後、施設規模や運営方法、中野のシンボルとなる新たな文化・芸術等の発信拠点の具体的な施設・機能等は民間事業者の提案事項となっていますが、再整備により生まれ変わる新たな施設も、子どもからお年寄りまで幅広い層に親しまれ、区民が利用しやすい施設になってほしいと思いますが、いかがでしょうか。
次に、地域包括ケア体制について伺います。
区は2017年中野区地域包括ケアシステム推進プランを策定しました。平成28年度から10年間を計画期間とし、ステップ1から4まで4期に分けた構成で、現在はステップ1、高齢者が可能な限り住み続けられる地域づくりに向けた基盤整備を終え、次のステップ2の基盤、機運の充実を背景とした地域包括ケアの全世代、全区民への発展・充実の段階に進んでいることになっています。
高齢者のための地域包括ケアシステムを構築するに当たり、アウトリーチチームを組織し、支援につながっていない高齢者を地域包括支援センターにつなぐなどの活動をしてきましたが、高齢者が可能な限り住み続けられる地域づくりに向けた基盤整備は終わったのでしょうか。どのような成果を上げたのでしょうか。
昨年、地域包括ケア推進調査特別委員会で示した地域における見守り支えあい活動の推進及び地域包括ケア体制等については、アウトリーチ支援とは、多職種の職員がそれぞれ能動的に地域活動をし、広く情報収集を行う中で、支援の必要性はあるが何らかの理由により支援に結び付かない人、制度のはざまにいる人及び地域課題を発見し、関係機関、地域団体や民間企業等のあらゆる地域資源と連携・協働して問題解決を目指す取組であると書かれています。
現在、ステップ1の基盤整備ができている地域では、地域包括支援センター、社会福祉協議会、高齢者施設、デイサービス、訪問看護、ケアマネジャー等、介護のネットワークがうまく機能していますが、一方では、アウトリーチチームがやっと町会・自治会等との交流を図っているだけで基盤整備には程遠い地域もあります。進捗状況に大きな差があると感じますが、いかがでしょうか。
白鷺にある社会福祉法人武蔵野療園しらさぎ桜苑の例を挙げます。
このしらさぎ桜苑には、地域連携室という部署があり、介護関係機関や地域の人たちをコーディネートする職員がいて、そこを拠点に地域の方のボランティア活動も活発です。民間事業者のケアマネジャーたちの交流研修会、介護をしている人たちが集えるケアラーズバル、介護職の仲間の集まり、介護の仕事や介護保険を分かりやすく説明した動画を自分たちで作成し自ら演じ上映するなど、地域の方に高齢者を支える仕組みや介護保険について分かりやすく説明し、介護に関わる関係者と住民の顔の見える交流を築いています。
しらさぎ桜苑は、地域連携室の場所の提供、介護に精通している職員の存在が大きく貢献していますが、さらに介護保険料を財源に働いている多くの事業者、民間で働くケアマネジャー等の多くの高齢者を支える人たちが自主的に参加しています。ただでさえ忙しい介護の仕事にプラスの活動で、皆さん大変な御苦労だと思いますが、社会貢献が自分たちの仕事にプラスとして返ってくると彼ら自身も大いに意義を感じています。このように民間発信で、地域に拠点を作り、介護のネットワークが立ち上がり、住民もボランティアでどんどん介護の拠点に入ってくるようになりました。そして、自然に様々な世代が集まる居場所にまで発展してきたのです。桜苑では、子育て親子も定期的に集まり、地域のママたちの居場所にもなり、子ども食堂も開かれています。既にステップ2の子ども部門の基盤整備もできているのです。
その一方、二、三年で異動してしまう区のアウトリーチチームの職員は、異動のたびに新たな職員が一から地域との関係性を築くことになり、町会や民生委員等から地域の事情を収集し支援を待つ人を探し出していく作業を繰り返しています。これでは効率も悪く、アウトリーチチームの職員一人ひとりがどんなに努力をしても、基盤整備までたどり着かないのではないかと危惧します。
現在、介護のステップ1の基盤整備ができている地域の現状を学び、今できてない地域がどのように基盤整備をするのか、地域包括ケア推進会議などで検討する必要があると思いますが、いかがでしょうか。また、桜苑のように基盤整備ができているエリアは他の地域にもあると思いますので、アウトリーチチーム、地域包括支援センター、社会福祉協議会、民間事業者、区民等に紹介し、情報の共有をしてはいかがでしょうか。
現在ステップ2の全ての区民への地域包括ケアとなれば、高齢者対象とは違い、表に出てこない多種多様な支援が必要な方々に対して関わっていける民間事業者はいるのでしょうか。私は思いつきません。ましてや、町会、民生委員等、今までボランティアで地域のために働いてくださる方々に頼るだけではとても無理と考えられます。そこにこそ区職員による丁寧なアウトリーチ活動が必要になってくるのだと思います。例えばひきこもりの方のように、自らあるいは家族からSOSを出せない人たちもいます。そのようなまさに制度のはざまにいる人たちに対しどのように関わっていくのか、取組を教えてください。
〇区長(酒井直人) 近藤議員の御質問で、1問目の中野駅新北口駅前エリア再整備について。
一つ目に、区民が納得できる情報発信についてでございます。
中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画につきましては、今後も区の様々な媒体を利用して情報発信に努めていくと考えております。
そして次に、区民の声の反映についての御質問でございます。
再整備事業計画の検討の過程では、区民会議を開催するなど、区民の声を受け止めるよう努めてきたところでございます。今後の事業構築に当たっても、合意形成に向けた地域住民等への説明は、選定された民間事業者の役割の一つとして募集要項にも示しておりますけれども、区民の誇りにつながる再開発となるよう、区も主体的に関与していきたいと考えております。
最後に、区民に親しまれる施設についての御質問です。
新たに整備する拠点施設は、ホールだけではなく、商業施設やホテル、バンケットなど多様な機能を誘導するものとしておりまして、買い物や食事、宴会や会合などができるようになります。また、敷地内に設ける広場には、日常的に憩える場として開放されるため、誰からも親しまれ利用される施設になると考えています。
○地域包括ケア推進担当部長(藤井多希子) 私からは、地域包括ケア体制に関する御質問にお答えいたします。
まず、高齢者向け地域包括ケアの基盤整備の成果についてでございます。
具体的な成果といたしましては、中野区全体及びすこやか圏域ごとの2層の地域ケア会議における多職種ネットワークの構築と、多職種が協同して困難事例をPDCAに基づいて解決する仕組みの導入、アウトリーチチームの設置、高齢者会館等における介護予防・日常生活支援総合事業の開始、在宅療養相談窓口の設置、なかのメディ・ケアネットの導入、認知症サポーター・サポートリーダーの養成、基幹型地域包括支援センター機能の設置などがございます。しかし、高齢化の進展と変化し続けるニーズに合わせて、基盤整備は今後とも進めていく必要があると考えております。
次に、進捗状況の地域差と先進事例の共有化についてでございます。
地域における進捗状況の差は、主にその地域固有の社会資源の違いによるものと考えております。先進的な事例など、他の地域における取組の参考となるものにつきましては、中野区地域包括ケア推進会議のほか、年に2回開催しておりますアウトリーチチーム事例発表会、またそれぞれの区民活動センターで開催されています地域支えあいネットワーク会議の場でも取り上げて、積極的に情報発信するなどにより共有化してまいりたいと考えております。
最後に、制度のはざまにいる人たちへの取組についてでございます。
SOSを出せない人など制度のはざまにいる人たちにつきましては、民生児童委員や地域団体等から得た情報を基にアウトリーチによって早期にアプローチをし、課題が深刻になる前に支援を開始することが重要であると考えております。また、その際は、各関係機関が密に連携して包括的かつ継続的な支援を行ってまいりたいと考えております。