令和2年 第2回定例会 6月4日 一般質問
1、新型コロナウイルス感染症等に対応する職員体制について
2、地域の子ども施設の考え方について
1、 新型コロナウイルス感染症等に対応する職員体制について、伺います。
今回の新型コロナウイルス、COVID-19で命を落とされた方々、御家族はもとより、経済的・精神的に打撃を受けた多くの方々、未知のウイルスと日々闘い続ける医療関係者や施設関係者等に心からお見舞いを申し上げるとともに、行政の支援の必要性を強く感じているところです。
私事ですが、私の父は、1940年代、結核にかかり、祖母は賃貸していた家を売り、父の治療費に充てたと聞いております。今年2月、私が総合東京病院への父の通院に付き添う際に、そう遠くない昔の感染症の話を聞いたばかりでした。父は、その当時、結核は不治の病と恐れられ、私の友人も5人に一人は亡くなった。中野区にあった国立の中野療養所のそばには棺桶屋が何軒もあり、感染症の恐しさを物語っていたと話していました。
その後、治療薬ができて、結核は治る病気となりましたが、中野区のホームページを見ますと、2018年、平成30年に日本全国で結核発病者1万5,590人、亡くなった方は2,204人、中野区で新たな結核を発病した方が44人、結核罹患率は13.0、結核で亡くなった方は二人となっています。現在でも結核は私たちの身近な病気であることが分かります。保健所の業務としても引き続き結核対策に取り組んでいました。しかし、今回の全く未知の新型コロナウイルスの猛威はこれまでの感染症の常識をひっくり返す事態を招きました。普段感染症に関する知識を学んでいる保健所職員等もその対応には苦慮されたことと思います。困惑する区民への対応、煩雑な病院との対応等に身を粉にして勤められた職員の方々には心から感謝いたします。ありがとうございました。
緊急事態宣言は一時解除になりましたが、まだ安心して日常を取り戻す段階ではなく、気を引き締めて対応していかなくてはなりません。その中で、今回の区の対応について、何点か質問いたします。
新型コロナウイルス発生後、保健所の業務が増大する中、区ではどのように保健所の応援体制を構築してきたのでしょうか。すこやか福祉センターと本庁から2回に分けて保健師を派遣したと聞きますが、当初から業務に当たっていた保健所の保健師の負担は大きく、休日出勤や超過勤務も多かったと思いますが、休日の取れる体制は組めたのでしょうか。交代で休める体制づくりが必要ですが、保健所の業務が多忙になったために、一気に職員を増員しても現場はかえって混乱してしまいます。保健所職員のうちに一人でも感染者が出てしまえば保健所機能が停止してしまう、大変厳しい状況の中、2度にわたるすこやか福祉センターからの保健師の派遣を行い、どうにか今回の危機を乗り越えてきましたが、これから先、第2波、第3波が来ないとも限りません。新型コロナウイルス感染症対策に対する全保健師への研修、さらには長期戦になった場合、引退された保健師等への呼びかけ等、今後はより持続可能な体制づくりを準備する必要があると思いますが、いかがでしょうか。
また、今回のようにすこやか福祉センターから保健所に保健師を派遣することで、すこやか福祉センターの業務自体が停滞する可能性もあります。今までも私は、医療職である保健師が多くの事務仕事をこなさなければならない体制に対して改めるように提案してきましたが、区の方針は、保健師も一般職と変わらない、事務もこなすこととしてきました。今回のような突発的な危機に見舞われたとき、保健師のような人数の少ない専門職種の職員においては、真にその専門性が必要とされる業務に絞り込んで担当させ、事務職など比較的人数の多い職種の職員でも実施できる業務は可能な限り分けて分担する必要があると思います。部署をまたいでの職員の応援体制、派遣などがよりスムーズにできるように検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
1980年代、国の行政改革(臨調)に伴い保健所等が縮小され、人員も削減されてきました。中野区が力を注いできた、にぎわい創出、グローバルな都市創設等の施策に対し、私は、これから中野区に様々な地域から多くの人が集まることによる公衆衛生上の観点から、また超高齢社会への対応、さらに多種多様な課題を抱える区民への対応などのために、保健所機能の強化や保健師等の職員の増員を図ることについて発言してきました。改めてここで、保健所機能の強化をお願いしたいと思います。
誰一人このような世界的災禍に見舞われることは考えもしなかった緊急事態の発生は、私たちに大きな課題を突きつけました。
日本経済新聞主催、参加型ウェブセミナー「アフターコロナを考える」に登壇した、コモンズ投資会長の渋沢氏は、「時代の変化は、ある日突然起こるものではなく、底流にあったものが何かのきっかけで一気に表に出てくるもので、効率性や利益をひたすら追求するだけでよいのかと疑問に思っていた人は少なくなかったのではないか」と語られました。(5月25日、日本経済新聞)
東京オリンピックの延期、各種イベントやスポーツの中止、何よりも多くの当たり前の日々が途切れる事態に、私たちは、自分たちの生活を振り返り、日常の底で見えなかったものに気づき始めているように思います。今後の危機管理はもちろんですが、新しい効率の考え方、大切な日常の継続に目を向けていくことが求められ始めています。訪日外国人の増加、ポップカルチャーブーム、東京オリンピック・パラリンピックの開催決定などに追随し、この機を逃すなとばかりに区民も驚くほどの数のイベント開催、ひたすらにぎわい、区への集客を目指し、中野区は奔走してきました。しかし、いまだ感染終息に至らない、あるいは感染がどこまで継続するか分からないこの時期に当たり、行政が本来力を入れて取り組まなくてはならないことは何なのか、本当に区民にとって必要なことは何なのかを真剣に検討していただきたいと思います。
2、 次に、地域の子ども施設のあり方について、伺います。
昨年10月、「地域の子ども施設のあり方について」の議会報告がありました。私は、令和元年第4回定例会において、児童館全廃の予定を見直し、内容変更があるとはいえ、9館の地域の子ども施設が残ることは大いに歓迎するものであるが、地域に児童館が残る可能性のある啓明小学校、北原小学校、上鷺宮小学校等の改築予定のない学校の校庭にわざわざプレハブまで建てて、キッズ・プラザ、学童クラブを入れていく必要はないのではないでしょうかと質問しました。区は、全小学校にキッズ・プラザと併設する学童クラブの整備を進めている。啓明小学校、北原小学校、上鷺宮小学校の3校も校内での施設整備や特別教室の放課後の活用など、他区の事例も参考に検討を進めていきたいと考えているというお答えでした。実際に他区の事例を参考にしながら、地域の子ども施設の在り方の検討は進んでいるのでしょうか。
区は、国の新・放課後子ども総合プランで放課後児童クラブと放課後子ども教室の小学校内での一体的な実施を推進していることを強調しています。しかし、国は、地域に児童館のような施設があれば、地域の特性を生かし、何が何でも学校に入れなくてはならないとは言っていないのです。国は、あくまでも学校運営に支障がないことを前提としています。コロナウイルス感染症の影響もあり、空き教室の利用方法等も今後検討が必要になってくると思います。新たな児童館機能に子どもと子育て家庭の相談支援拠点、子育て関連団体の活動拠点なども挙げられていますが、まずは待機児童の解消に努める必要があります。現在ある児童館で65人以上の規模の学童クラブがあるところでも待機児童が出ている現実、学校にプレハブを建てたとしてもさらにまた待機児童が出ている現実、民間学童クラブを誘致してもさらに待機児童が出ている現実、これを真剣に受止め、今後さらに増えていくと思われる学童クラブの需要に対し、新たな児童館には最優先で学童クラブを入れていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
学童クラブの需要が増えるにつけ、誘致する民間学童クラブは校区外であったり、商店街の窓も開けられない場所などになっていくのではないかと危惧しています。今後、グローバル社会で生きていく子どもたちは、多様な価値観を持った他国の子どもたちとも向き合い過ごしていくことになっていきます。感染症対策もしなければなりません。小学生の放課後の居場所が伸び伸びと思い思い過ごせる大切な場所となる、そんな新たな児童館の在り方を再考していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
質問は終わります。御清聴ありがとうございます。
○区長(酒井直人) 私からは、地域の子ども施設のあり方について、お答えいたします。
まず初めに、地域の子ども施設の在り方の検討状況についてでございます。放課後児童クラブと放課後子ども教室を一体的に行う施設としてキッズ・プラザを整備していくほか、新たな児童館については各中学校区ごとに配置するという案を示したところでございます。地域の子ども施設の在り方や具体的な施設の配置案については、基本計画や区全体の施設の再配置等の検討も踏まえて示していく考えでございます。
次に、学童クラブの待機児童対策についてでございます。現在想定している新たな児童館におきましては、学童クラブを併設する考えはございません。学童クラブの待機児童対策につきましては、基本的には今後整備していくキッズ・プラザへの併設と民間学童クラブの誘致により行っていく考えでございます。
次に、新たな児童館の施設内容についてでございます。新たな児童館は、全ての子どもたちを地域全体で育てるため、区民・子育て関係団体等の子育て支援活動の拠点として、子育て家庭に対する相談・支援や区民、団体などの地域交流を推進する場とする考えでございます。新たな児童館には、子どもたちの遊びの拠点の役割もあり、一人ひとりが伸び伸びと過ごすことができる広い空間を確保する工夫を行っていきたいと考えております。
〇総務部長(海老沢憲一) 私からは、新型コロナウイルス感染症等によって対応する職員体制について、お答えいたします。
まず、保健所の応援体制についてでございますが、すこやか福祉センターや地域包括ケア推進課、子育て支援課等、保健所以外に所属する保健師について、保健予防課との兼務とし、交代で応援に入る体制としたところでございます。保健師の応援体制は段階的に増員しており、3月は6名の応援体制でありましたが、4月中旬には11名まで増員しているところでございます。そのほかにも、新型コロナウイルス対応に関する保健所の新規業務への対応等を支援するため、約10名の事務職員の兼務体制を構築したところでございます。
続きまして、保健所の保健師の休日の取得状況でございますが、保健所の保健師は負担が大きく、休日出勤もございましたが、特に負担の大きかった職員の平均でも、3月は約7日、4月は約8日、5月は連休も含めて約12日が週休日や休日となっており、おおむね週に1日か2日、休みを取得できた状況でございます。
続きまして、新型コロナウイルス対応が長期化した場合の保健所の体制でございますが、これまでの保健所の応援体制を通じて、多くの保健師が交代で保健所の業務に従事し経験を積んできたところでございます。今後、第2波、第3波の感染拡大に備えまして、これまでの経験を生かし、速やかに応援職員を配置できる仕組みが必要だと考えているところでございます。
〇地域支えあい推進部長(鳥井文哉) 私からは、職員体制のうち、すこやか福祉センター等におきます業務分担の調整につきまして、お答え申し上げます。新型コロナウイルスへの対応に当たりましては、保健師の応援職員を派遣しております4か所のすこやか福祉センターなどの業務といたしましては、相談業務、各種事業の実施やそれに付随する経理業務、また窓口業務等がございまして、事務職、保健師、福祉職等が連携して担ってございます。すこやか福祉センターにおきましては、従来から事業実施に付随する経理業務を事務職の係が担っているところではございますが、この間につきましては、保健師の応援職員が担当していた地区については福祉職が代わってケース対応を中心的に担うなどしまして、保健師へのフォローを職場全体の課題として捉え、保健師の派遣を機動的に実施してまいりました。今後も職場全体での業務分担の調整と協力体制の強化に努めてまいります。