私の議会報告

令和3年 第1回定例会 2月19日 一般質問

1、地域包括ケア体制の実現について
2、中野区の文化芸術について


 新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになった方とその御遺族にお悔やみを申し上げるとともに、療養中の方に心よりお見舞いを申し上げます。また、日々最前線の医療、介護、保健、保育などの現場で働く皆様に感謝を申し上げまして、質問に入ります。

1、地域包括ケア体制の実現について。

中野区は、中野区基本構想の改定に向けた検討を進めています。2021年から2025年までの5年間を基本計画としていますが、基本計画の三つの重点プロジェクトの一つに、地域包括ケア体制の実現があります。区民の多様な課題を地域で受け止め、解決につなげる体制をつくります。社会とのつながりの中で、一人ひとりに寄り添った支援を行います。全ての人に居場所があり、無理なく支え合う地域づくりを進めますと、三つ示されています。
2017年、区が中野区地域包括ケアシステム推進プランを策定し、2021年度は計画のちょうど半分の時期であり、本来であれば、ステップ3の全世代、全区民に展開させた新しい地域包括支援体制が構築されている時期となっているところですが、区民の多様な課題を地域で受け止め、解決につなげる体制はまだ見えてきません。
昨年12月にアウトリーチチームの事例発表で、ステップ1の高齢者への支援として、行政に声が届かなかった高齢者をアウトリーチチームが関わり支援に結びつけたとの報告があり、アウトリーチチームが尽力されていることは分かりました。ただ、高齢者に対しては、専門の機関である地域包括支援センターがあるので、アウトリーチチームの活動がしやすいと思います。
しかし、ステップ3の多様な課題を抱える区民を取り残さないように発見し、支援する仕組みは、介護保険のような制度もなく、民間企業の介入もほとんどなく、まさに制度のはざまにある部分です。これこそアウトリーチチームが積極的に介入しなければならない部分であると思いますが、どのようにネットワークを構築していくのかが全く見えてきません。
区長は、「誰一人取り残さない」、「職員を地域に出す、アウトリーチ活動を進める」とおっしゃっていますが、私が見る限りでは、この新型コロナウイルス感染症の流行前から、多くの福祉職や保健師等はもともと人材不足であることや、一つの案件に長い時間関わっていられない等の理由で、アウトリーチ活動が控えられてきたように思います。今後は、すこやか福祉センターの増設による相談窓口の増、児童相談所の窓口、さらに新たな児童館機能の場所にも相談機能を置く予定となっています。
相談窓口が増えることは区民にとってありがたいことですが、どのように相談後の支援体制を充実させるのか、そもそも相談に来ることのできない区民をどのように支援できるのかが問題です。そして、この部分こそ、アウトリーチ活動に期待された仕事ではないでしょうか。お答えください。
これまで、高齢者に対してきたアウトリーチチームの形では、8050問題や早期の支援が必要な若者のひきこもり問題等を含む厳しい状況下で助けを求める全ての区民を対象にした地域包括ケア体制はとても築けないと思います。人員体制の強化がないところに窓口だけを増やしても、より適切な支援に結びつくとは思いません。
区民活動センターのアウトリーチチームに社会福祉士や精神保健福祉士などの専門職を配置し、制度のはざまにいる支援が必要な区民に対して、素早く支援に入るべきだと思いますが、いかがでしょうか。
私は、以前から、保健師や福祉職の人員強化、人材育成等について、議会で何度も発言してきました。また、福祉職が事務仕事に追われる体制を改善すること等も提案してきました。その後改善された部分もありますが、ステップ3の全世代、全区民に視点を広げた新しい地域包括支援体制の進展を実現するためには、人材育成には時間がかかり、現在の区のペースでは、人員強化と人材育成だけではとても間に合いません。
昨年の第1回定例会で、私は上鷺宮にあるしらさぎ桜苑を紹介しました。しらさぎ桜苑は、地域連携室を中心に、中野区社会福祉協議会鷺宮地区担当、鷺宮地域包括支援センターをはじめ、民間ケアステーションなどの事業所等と鷺宮エリアの介護のネットワークを築き、地域の高齢者、介護者、事業者、さらに乳幼児親子や中高生等も集まれる場所の提供を行っています。子ども食堂も行い、ボランティア活動も盛んです。
さらに、今月からは、コロナ禍で食生活に困っている方々に食品を提供する「こまちゃんパントリー」も期間限定で始めました。このように、困ったときに素早い対応が可能であること、しらさぎ桜苑の持つ、これはパワーです。介護のネットワークが地域の全ての支援を必要とする人たちを支援していくネットワークづくりへと発展しています。いろいろな人たちが集うことで、地域の情報も集まります。ほかにも、支え合いのネットワークが構築されている地区もいろいろあるともお聞きしています。
このような成功事例もモデル事業として検討し、例えばアウトリーチチームの職員を地域包括ケア推進会議や、すこやか地域ケア会議の委員として出席させ、積極的にネットワークの構築のノウハウを学んでいただいてはいかがでしょうか。
二、三年で異動になってしまう課長職が会議に委員として出席するよりも、アウトリーチチームの専門職が積極的に勉強する機会をどんどんつくっていっていただきたいと思いますけれど、いかがでしょうか。
そうすることによって、町会や地域の方だけではなく、具体的な支援を行っている民間の支援者たちともつながり、連携体制を広げることができ、本来のアウトリーチチームの仕事をさらに展開していくことにつながるのではないでしょうか。

2,中野区の文化芸術について

中野区の文化芸術について伺います。
現在検討中の中野区基本計画の素案たたき台を見ますと、政策3、中野区の文化芸術の項の見出しに、「遊び心あふれる文化芸術をまち全体に展開する」とあります。区民委員会でも議論を重ねましたが、文化芸術の成果指標で、文化芸術活動が活発に行われ、にぎわいにあふれていると思う区民の割合、現状値は46.7%、この数字を2025年には、さらに上げることを目標としています。
アニメやサブカルチャーなど、中野区に根差してきた文化を区民が気軽に楽しみ、誰もが文化芸術活動ができること、身近な場所で文化芸術に触れられることは大切ですし、よいことであると思います。しかし、コロナウイルスの感染症の今後の状況も不透明な中、中野区中のまちを遊び心あふれる文化芸術でにぎやかにすることを区民は望んでいるのでしょうか。
これまでも基本計画を検討する段階で、区民から、「遊び心あふれると言うが、にぎやかになればよいというものではない」、「にぎわいだけではない、中野らしい表現にしてほしい」等の声が寄せられてきました。中野区には、長く伝統芸術に携わってこられた方や歴史ある文化芸術を大切に守ってきた方たちも多くいらっしゃいます。それら中野区の文化芸術を一くくりにしてしまい、遊び心あふれる文化芸術を展開してにぎわいに結びつけることには違和感があります。
もう一つは、この「遊び心」の表現です。「遊び心あふれる文化芸術」とは、何を指すのでしょうか。「遊び心」という表現が、中野区の文化を語るのにぴったりな言葉であると思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし、「遊び心」、「遊び」という表現は、誰をもハッピーにする表現ではないと私は思います。
私は、犯罪被害者遺族であり、犯罪被害者の支援の活動をしていますので、あえて言わせていただきますが、犯罪の現場では、「遊び」という言葉がよく出てきます。加害者が自分の犯した罪を振り返り、「遊びの延長だった」、「ほんの遊び心からだった」、「遊びのつもりが」と軽く言います。いじめを受けた、あるいは詐欺、強姦、殺人等の被害者にとって、「遊び心」は到底許すことのできない残酷な言葉です。楽しむ、自由、無駄、気まま、「遊び」に対する人々の心象は様々です。人を不愉快にする「遊び心」もあります。
ここで使われる「遊び心」は、歴史ある中野区の文化芸術までも含めた政策の見出しとしてふさわしくないと思います。長く文化芸術に真摯に向き合ってこられた方々にとっても、文化芸術を「遊び心」の言葉でくくられることは心外ではないでしょうか。
行政が文化芸術のトップタイトルにつけるにしては、「遊び心」は違和感があること、またその言葉を見聞きして嫌な思いをする人がいることに対して、区長はどのようにお考えでしょうか。
御清聴ありがとうございました。

○区長(酒井直人)  
まず、1点目の地域包括ケア体制の実現について、自ら相談に来ることができない区民への支援についての御質問でございます。
自ら相談に来ることができない区民への支援につきましては、アウトリーチ活動として取り組むべき重要な課題であると認識をしているところでございます。今年度はコロナ禍で、訪問や対面でのアプローチが厳しい、難しい状況ではございましたが、特別定額給付金の申請支援における電話やポスティング等で状況を把握し、支援につなげられた事例もありました。相談先を周知するチラシのポスティングや地域の団体、事業者等の協力を得た広報などを実施し、今後もあらゆる機会を通じて支援が必要な方の発見、支援に粘り強く努めていこうと考えております。
次に、区民活動センターの専門職の配置についての御質問でございます。
区民活動センターごとに配置しているアウトリーチチームは、すこやか福祉センターと区民活動センターの職員によるチームでございます。これは、保健師、福祉職、事務職により構成されておりまして、精神保健福祉士や社会福祉士などの資格を持つ職員もおります。それぞれがそれまでに培った職務経験や専門性を生かしてチームとして活動しておりまして、地域の方々や団体等と連携協力して支援につなげていると考えております。
次に、アウトリーチチームの能力の向上についてでございます。
アウトリーチチームは、厚生労働省の定める生活支援コーディネーターに位置づけられておりまして、区の研修のほか、都の研修にも参加し、能力向上を図っております。
すこやか地域ケア会議では、議論にもこれらアウトリーチチームのメンバーは参加をし、地域、団体支援やネットワークづくりの取組について情報を共有しているところでございます。
今後は、地域団体等の実践例、これらをモデル事業として、他地域にも広げていく方法についても研究し、アウトリーチ活動の展開を図っていきたいと考えております。
最後に、基本計画(素案たたき台)においての「遊び心あふれる」の言葉についての御質問でございます。
「遊び心あふれる」という意味には、区内の至るところで展開される多様な文化芸術やコンテンツ、これらに区民が触れることで生み出される心のゆとりや楽しみといったものが、中野のまち全体にあふれてほしいという思いが込められております。

 「遊び心あふれる」という趣旨については、誤解や混乱を招くことがないように、区民の皆さんに対して、今後も丁寧に説明をしてまいりたいと考えております。

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