令和4年 第1回定例会 2月17日 一般質問
1、新庁舎への移転に向けた業務改善について
2、不登校の子どもたちへの対応について
新型コロナウイルス感染症対策に日々忙殺されている医療関係者の皆様、職員の皆様、全ての関係する皆様に感謝を申し上げて質問に入らせていただきます。
(1)新庁舎への移転に向けた業務改善について
先日、区役所で行われた業務改善運動OneUp↑チャレンジ(ワンナップチャレンジ)を拝見しました。これは業務改善運動の機運を高めるために、各所属で定められた改善プランを他自治体のゲスト、区長、各部の部長等の前で職員たちが発表する取組です。コロナ禍で激務を強いられている保健所の取組について、新型コロナ対応で保護者や家族との交流方法等を工夫した本町保育園の取組、新庁舎への移転を見据えて倉庫の整理等を行った交通政策課など、八つの職場の取組の事例が発表されました。いずれの職場もパワーポイントやオンラインなどを駆使し、それぞれの職場の取組を分かりやすく発表していました。それぞれの職場の皆さんが業務改善に熱心に取り組んでいる様子、また、その様子を伝えるために工夫した演出、どんなことがどのように改善したのかが分かりやすく楽しく拝見することができました。
他自治体の職員等の投票の結果、サンプラザ5.4個分のペーパーレスの取組を行った総務部が優勝しました。昨年私も総務部の新庁舎へ向けてのモデルルームを実際に見学させていただきましたが、目に見える形でペーパーレスの成果を出した総務部の取組は評価に値すると思いました。
現在、区全体で区役所新庁舎への移転を見据えてデジタル化やペーパーレス推進、働き方改革などの業務改善を進めていますが、今回総務部で効率的にペーパーレスの取組が推進できたのはどのような手法だったのでしょうか。
発表会で優勝した総務部の職員は、「今後は総務部長率いる総務部の職員が他部署へ赴き、ペーパーレスの取組を全庁的に促進していく」と話されました。しかし、各部署の仕事内容は様々で、区民と向き合いながら日々仕事に追われている部署、令和2年度一人1か月平均超過勤務状況が総務部と比べると5倍以上も多い部署など、業務改善、ペーパーレス等の業務に時間をかけることが難しい部署もあると思いますが、どのように取り組むのでしょうか。
業務改善運動の発表会は、職員がより働きやすい環境を自らつくり、仕事の効率を上げるために役立ち、職場間でレベルアップへの刺激となるのであればよい取組であると思いますが、来年度は全国大会まで行うと言います。これまで他の自治体の取組を学び、中野区で取り入れたことはあるのでしょうか。
新型コロナウイルス感染症への対策、多種多様な課題を抱える区民への対応、庁舎移転に向けてのデジタル化、ペーパーレス推進、業務改善を求められて多忙を極める職員たちにとって、改善運動大会を開く意義は何なのでしょうか、お答えください。
今年から業務改善運動が企画部から総務部の新区役所整備課に事務移管されたそうですが、新区役所整備課ではどのような工夫をして取組を進めているのでしょうか。新庁舎は来庁する区民にとって使い勝手のよい場所になることはもちろんですが、職員一人ひとりにとっても生き生きと働ける場所であってほしいと思います。職員のアイデアを新庁舎での働き方に積極的に取り入れるなど、職員のモチベーションが上がるような取組を行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
この業務改善運動は「OneUp↑チャレンジ(ワンナップチャレンジ)」という愛称で呼ぶそうですが、以前は「おもてなし運動」と呼んでいました。私はおもてなし運動も何回も拝見させていただきましたが、今回の発表は、以前よりも目に見えて業務改善が進み、発表会もオンライン参加、スマートフォン端末でのアンケート参加など、デジタル化、ペーパーレスに取り組んでいました。しかし、一番大事なことは、以前の業務運動からなくなった言葉「おもてなし」、区民のサービス向上が業務改善の最大の目的であることを忘れないでいただきたいと思います。
また、この発表会の中で、戸籍住民課が作った広告、マイナンバーカードを使い、コンビニエンスストアで印鑑証明や住民票を取ると区役所や地域事務所の窓口よりも100円安くなることを周知するポスターが分かりやすく目につき、すばらしいと評価されていました。確かに上手にデザインされたよい広告物となっていることは認めますが、私はこのポスターが貼ってあるのを一度も見たことがありませんでしたし、チラシを手にしたこともありませんでした。
私はよく住民票の写しや戸籍謄本などの証明書類を地域事務所に取りに行きます。年金に使用する住民票の写しは、これまでコンビニで取得するほうが値段が高かったこともありましたが、そのときそのときの事情で地域事務所とコンビニを使い分けてきました。地域事務所の窓口の職員はいつも温かな対応をしてくれます。戸籍などの証明書類は、人の死亡のときの添付書類として必要になる場合が多いものです。そんなとき窓口の職員の「お疲れさまです」や「大変ですね」などの温かい言葉が書類に添えられると、つらい作業に追われている遺族の心は少し癒やされます。また、窓口の職員は、コンビニでマイナンバーカードを使うと手数料が100円安くなることも伝えてくれています。特に高齢者は、マイナンバーカードを持っていても、コンビニの手数料が100円安いことが分かっていても、職員が丁寧に必要書類を確認してくれて、自分で機械の操作をしなくて済む窓口で証明書を取る人が大勢いると思います。今後、新庁舎への移転を契機にデジタル化、ペーパーレス化が進み、業務が改善され便利になることは望ましいことですが、区役所を訪れた区民、特に高齢者や障害者にとって親切な職員がいて、安心して手際よく手続ができる温かい中野区新庁舎であってほしいと私は思いますが、区長の見解をお聞かせください。
(2)次に、不登校の子どもたちへの対応について伺います。
現在、新型コロナウイルス感染症の拡大から発生する学級閉鎖などもあり、通常の状態ではない学校関係者は大変厳しい状況で子どもたちの学校生活を支えていると思います。学校関係者の皆様に感謝を申し上げます。令和4年度当初予算(案)の概要によると、教育相談体制の充実・拡充の中に、急激に増加している不登校傾向や不安感を持つ児童・生徒にきめ細かな支援を行うための人材増員等の記載があります。現在、不登校傾向や不安感を持つ児童・生徒は急激に増加しているのでしょうか。現在の不登校傾向、不安感を持つ子どもたちの現状を教えてください。
教育相談員、スクールソーシャルワーカーを増員して相談・巡回支援体制を強化するとされていますが、どんな取組にされていくのでしょうか。
先日、私は不登校のお子さんを持つ家族から相談を受けました。その方は、学校以外どこに相談すればいいのか分からない状態でした。中野区子ども・若者支援センターや教育センターが入る総合施設みらいステップなかのの存在は全く知りませんでした。せっかく相談機関があっても、不登校の子ども、またはその家族に学校外の相談窓口、勉強場所などが周知されていなければ利用することはできません。現在行っている相談機関、体制を周知させ、不登校の子どもたちに届く支援をしていくことが大事であると思いますが、どのようにお考えでしょうか。
せっかく子どもたちのために準備したみらいステップなかのは、北部地域の子どもたちが足を運ぶのには遠く、その存在さえも知られていません。区長は、「中野区の財産は人であり、これからの職員は地域に飛び出していき、区民との関係性をつくる」と言われています。職員が地域に飛び出していって、不登校の児童・生徒を見守ることができる仕組みも考えられるのでしょうか。
不登校の問題は様々な視点から検討されていると思いますが、何かの原因で傷つき、あるいは他人との違いに悩み、集団の中に入っていけない子どもたちは、自分を迎えてくれる人がいない場所に勇気を出して飛び込むことはできません。私自身が子育てをしていたとき、またその後の不登校の子どもたちや親たちを見て相談を受けてきた多数の経験から分かることは、子どもの育ちに添いながら見守り続けた大人の存在があったケースにおいては、不登校だった子どもたちがその後大きく成長する場合が多いということです。担任の先生が何度も不登校の子どもたちの家を訪ね、学校で待っているからと言い続けたケース、学校に行けない子どもが児童館の先生たちに自分の悩みを話していたケース、家庭や地域で見守り続けたケースなど、多少時間はかかり、保護者もその当時は精神的にきつい時間を過ごしていても、振り返って、「あの時期があったことがあの子の成長にはよかったかもしれないです」とまで言える成長の大事なプロセスとなっている場合も少なくありませんでした。
不登校児童・生徒に対する研修なども行うということですが、先生はまず不登校の子どもたちが学校に帰ってこられる学級づくり、不登校の子どもと家族たちとの信頼を築いていただくこと等、子どもと親双方に安心感を与えられるように取り組んでいただきたいと思いますが、見解をお聞かせください。
不登校の子どもたちが発信している様々な問題、いじめ、暴力、学力不振、家庭の問題、ヤングケアラーの問題等、決して見逃してはならない問いかけが見えてきます。子育て先進区を目指す中野区は、まずこの問題を注視していかなければならないと思いますが、御意見をお聞かせください。御清聴ありがとうございます。
○区長 近藤議員の御質問にお答えいたします。
まず最初に、総務部のペーパーレスの取組についてでございます。総務部では、ペーパーレスによる業務改善を部の経営戦略に位置付けて、各課の現状把握と年間目標を課ごとに設定し、3か月ごとに進捗状況を確認することで成果を上げることができました。具体的には、文書削減量を指標化するとともに、クリアデスクの意識付けを継続・反復したことが奏功したと考えております。
次に、ペーパーレスを進めていくための課題と庁内への働きかけについてでございます。新庁舎への移転が2年後に迫る中、全庁的に意識を持って取り組む必要があるため、計画的に進め、競争性を持たせるなど、取組を加速していく必要があります。職場の状況は様々でありますが、今後も全庁で情報共有しながらペーパーレスを推進してまいります。
次に、他自治体での取組の活用についてでございます。他の自治体で実践されている改善事例を取り入れることは、区の業務改善にも有効であると考えております。具体的には、横浜市の事例から広報物への広告掲載の手法を取り入れたことや、新庁舎に向けては鹿児島県出水市の電子文書のデータ整理による新たな電子文書の管理方法、渋谷区の消耗品の一括管理による事務の効率化などを参考に検討を進めてまいります。今後とも他自治体と連携を取りながら、改善情報の共有化を図り、区の業務効率化や区民サービスの向上につなげてまいります。
次に、新庁舎移転を見据えた改善の取組、職員アイデアの活用についてでございます。各部で取り組む業務改善プランについては、メインテーマをペーパーレス推進や移転に向けた働き方に資する取組等に設定し、改善内容をお互いに取り入れやすい内容とする工夫を行いました。職員のアイデアが実際に生かされるよう、効果的な提案については関連所管と調整し、新庁舎における働き方の標準となるよう検討を行っております。また、フロアごとに設置されているPTでは、各課から選出された職員同士が業務改善の視点で活発な議論を重ねており、よりよい区民サービスの在り方や働き方の検討を進めております。
OneUp↑チャレンジ(ワンナップチャレンジ)発表会開催の意義についてでございます。業務改善は日常業務の一部であり、職員一人ひとりが改善の意識を持って日々の仕事に臨むことが大変重要です。こうした意義を踏まえ、より多くの職員が改善の成果を共感・共有し、各職場で改善につなげていくため、OneUp↑チャレンジ(ワンナップチャレンジ)発表会を開催しております。職員のモチベーションやプレゼンテーション能力を高める貴重な機会として、人材育成の側面からも重要だと思っております。
最後に、区民の皆様に身近な新庁舎についてでございます。デジタルシフトなどの取組によって業務の効率化を進める一方で、区民の皆さんが安心して手続・相談ができ、職員が市民に応対する区役所であることが何よりも重要なことであると認識をしております。新庁舎では丁寧で細やかな対応が行えるよう、相談しやすい環境を整備するなど、区民に寄り添った満足度の高い区民サービスを提供してまいります。
○教育長(入野貴美子) 私からは、不登校の子どもたちへの対応のうち、区立小・中学校の不登校児童・生徒数についてまずお答えをいたします。今年度の4月から12月末までに20日以上欠席した不登校傾向の児童・生徒数を令和2年度の同時期と比べますと、今年度は小学校で1.4倍、中学校で1.2倍となっており急増していると捉えております。
次に、不登校傾向の児童・生徒に対する取組についてです。不登校傾向の児童・生徒や福祉的な支援が必要な家庭には、スクールソーシャルワーカーが直接家庭へ訪問し、児童・生徒本人や保護者への支援を行っております。来年度は、急増している不登校児童・生徒等へきめ細かな対応を行うため、スクールソーシャルワーカーを増員し、さらに支援を充実していく予定でございます。
教育支援室での不登校児童・生徒の支援についての周知です。教育支援室での支援の情報につきましては、主に学校や区の教育相談室を通じてお知らせしてきたところでございます。また、みらいステップなかのに教育センターが移転した際に、各機関を紹介した教育センターだよりを作成いたしました。各学校には、保護者会などの機会にこれを活用していただくようお願いしてきているところでございますが、今後様々な方法で周知してまいります。
次に、教育センター外での支援についてでございます。中野区教育支援室の分室を中野区立教育センター分室や南部すこやか福祉センター、野方図書館の中に設置し、児童・生徒の特性や通いやすさに応じて分室を選択できるようにしてきております。また、現在通室が難しい児童・生徒に対しましては、保護者や学校の要請により、家庭や学校に支援員を派遣し、教科学習の指導や教育相談などを行っております。